GreenT

インヘリタンスのGreenTのレビュー・感想・評価

インヘリタンス(2020年製作の映画)
1.5
良くある「お暇ならどうぞ」系の及第点のスリラーです。

ローレン・モンロー(リリー・コリンズ)は、貧しい人たちを騙した資産家を訴える、世間の注目を集める裁判を控えているマンハッタンの地方検事。弟は再選を目指す選挙を控えた政治家で、ローレンはその応援演説にも顔を出すなど、多忙な日々を送っている。

そんな時、父のアーチャーが事故で亡くなる。葬式のときの会話で、ローレンは昔から特権階級であることを恥じ、父親に逆らい続けたので、ウィリアムの方がアーチャーの「ゴールデン・ボーイ」だったことが分かる。

財産分与では、ウィリアムの相続財産 (Inheritance) が$20ミリオン、ローレンが$1ミリオン。明らかにウィリアムが贔屓されているのが分かる。しかし、一家の顧問弁護士、ハロルドは、ローレンにだけ残された遺産があると、小さな封筒を渡す。中には、アーチャーが自撮りしたビデオと、リングに付いたいくつかの鍵が入っている。

映画好きな方ならすでに予想が付くと思いますが、アーチャーはビデオを残したくせに、なんでこの「遺産 (inheritance) 」をローレンにだけ遺したのか説明しない。なんのためのビデオなんだ(笑)。ローレンも、わけもわからないのになぜか裏庭の隠し地下室を見つけ、おどろおどろしい地下室に「普通行かないよな〜」と思うんだけど、行くんですね〜。B級スリラーのお約束です。

で、サイモン・ペグ演じる、鎖で繋がれ、30年間閉じ込められていた男を見つける。

「あなたは何者なの?!なんでこんなところにいるの?!」って、鎖で繋がれているんだから、好きでここにいるのではないことは明白!しかもお父さんから受け継いだんだもん。この男も、普通だったら、「私はなになにだ、警察に連絡してくれ!」って事情を説明しようとするはずじゃないですか。だけど、やたら思わせぶりに言いたがらない。

しかし、スリラーのお約束なので、ここはツッコんではいけない(笑)。

で、男がのらりくらりとローレンと駆け引きをするのだが、なんでローレンはそれに付き合うのかわからない。切れ者の地方検事なんじゃないの。唯一考えられるのは、弟が再選を狙ってる政治家だし、父親が人を監禁していたとか、殺人を隠していたなどとバレると困る、っていう理由。

しかしローレンは「特権階級であることを恥じているキャラ」として描かれているので、弟の政治生命や、自分の家の名前に傷が付くという理由でこの男の存在を隠そうとする自分が、結局は特権階級にあぐらをかいているんじゃん、ってことを認めることになるので、葛藤する。

それはわかるんですが、男がアーチャーには愛人がいたとか、警察やなんかに献金と称して裏金を渡していたとか告げるたびにローレンは「じゃじゃ〜ん!!」みたいに大げさに傷つく。

でもさ〜、地方検事として大物資産家を起訴するために調べていたら、こういう人たちが何しているかなんてわかるでしょ?と思いません?しかもすっごい優しいお父さんだったんじゃないんですよ。「娘でも負け犬には用はない」的なお父さんだったんですよ。だからこそローレンも反抗的だったわけじゃないですか。地方検事やっているのに、ナイーブ過ぎます。

あ、そうそう、そんで、世間の注目を浴びる訴訟をやっているのに、この男に翻弄されて、裁判サボったりしている。オープニングにすっごいやり手の地方検事っぽく紹介されていたのに、結構モロい。

で、一家の秘密が明かされるたびに「じゃじゃーん!」なんだけど、なにがそんな大変なことなのかもわかんない。で、男を表に出したり、「なんでそんな事するの?」というのがずーっと続く。

だってさ、鎖に繋がれてて、いざとなったら鉄のドア閉めてそのままなかったことにすれば、この男は死ぬんだよ。まあ、それが、ローレンは「いい人」だからできない、その葛藤、ってことなんだろうけど、「ローレンの葛藤」が身につまされないので「アホか」と思ってしまう。

リリー・コリンズもサイモン・ペグも好演していたと思うのですが、ミスキャスト?リリー・コリンズは、金持ちの娘には見えるけど、バリキャリの地方検事には見えない。そもそも若すぎる。サイモン・ペグも、カツラなんとかしろ!ってくらい、30年も監禁されていた人のメイクがイマイチ。二人ともいい役者さんなのにこういう仕事しなくちゃいけないんだなあ〜と気の毒になった。

ネタバレはコメント欄で。