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滑走路のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

滑走路(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

厚生労働省の若手官僚は非正規雇用が原因で自殺者が増えている問題についてnpo団体から追求を受ける。彼は自殺者のリストの中に自分と同じ25歳の青年を見つけ興味を持ち、自殺の経緯を調べ始めるのだが......という話。
若くして命を断った歌人・萩原慎一郎の歌集「滑走路」を映画化した作品。以前観た『キュクロプス』の監督ということで鑑賞。

登場人物たちの苦悩を通していじめ問題や不況にあえぐ若者層の不安を切々と描いた力作。すごい僕好み。
中学生たち、若手官僚、切り絵画家の夫婦の3つの異なる時代のエピソードが並行して進み、やがて3パートの人物たちの関連性が明らかになっていく。地味で重々しい作風だがとても引きこまれる物語だった。中学生編のクラスメイト3人がその後袂を分かち、大人になって幸薄い人生を送っているところがとても物悲しい。彼らの数奇な運命が次第に交差していく構成が素晴らしかった。
自殺した友人の家を訪ねた主人公に友人の母親が投げかける言葉が厳しくも温かい。友人が転校するヒロインを追いかけて思いを伝える中学生編の終わり方は将来自殺する事実もあって涙腺崩壊。やはり幸薄いヒロインの大人編の決着の付け方も上手かった。ラストシーンと主題歌の組合せも破壊力抜群。

飛行機の絵を見たら泣ける映画って珍しい。
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