しろくま

滑走路のしろくまのレビュー・感想・評価

滑走路(2020年製作の映画)
3.7
2022.06.13/121/図書館DVD
〝きみのため 用意されたる 滑走路 きみは翼を 手にすればいい〟非正規雇用労働者として働きながら32歳で命を絶った萩原慎一郎さんの歌集〝滑走路〟の映画化。

激務に追われ、過労と睡眠障害に悩まされている厚生労働省の 若手官僚(浅香航大)。いじめを受けていた同級生をかばったために、自らがいじめの標的にされる学級委員長(寄川歌太) 。創作活動が評価され、高齢出産となる前に子供が欲しいと悩み始める切り絵作家(水川あさみ) 。この3人がそれぞれに抱えている仕事、いじめ、出産などの問題に向き合うドラマが交互に語られていくが、途中から話がつながり始めるのは、ジグソーパズルのピースが埋まっていくような感覚。誰もがあの時のことを引きずっていて、それだけに根が深い問題。

本作に登場する過去にいじめを受け、自ら命を絶った非正規雇用の青年は、いじめが強烈なトラウマとなって高校受験にも大学受験にも失敗したことが明らかになっていくのだけど、これって、萩原さんとつい重ねてしまいがちだけど、違うんだよね。萩原さんはいじめのトラウマを抱えあがらも、創作活動に打ち込み、数々の賞を受賞され、大学では短歌の研究にも取り組まれていて、その前向きな短歌に共感できたのに、いじめられた人はこうなるに違いないというステレオタイプの描き方は違うだろって。萩原慎一郎さんの歌集〝滑走路〟の何をインスパイアしたのだろう。