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日本一の裏切り男のmitakosamaのレビュー・感想・評価

日本一の裏切り男(1968年製作の映画)
2.7
クレイジーで、今作と断絶男だけが監督が違う。須川栄三だって。よく知らないが最初の野獣死すべしの監督か…
クレイジー後期になって方向性の模索をしてたのかしら?やはり古澤慎吾・坪島孝両監督と作風が違う。

うーん。単純にあまり楽しめないのは何故なんだろうか?クレイジー映画的な物に対する先入観に囚われてるのかなぁ?

戦後日本史20年をブラックユーモア溢れる描写で表現。
今までが高度成長期をテーマにしてきたので、今までの脱却を試みてるのがわかる。

植木・ハナ・浜美枝を中心に、特攻隊員・上官・見送る少女、
戦後の放浪者・闇市の頭・パンパン、
パチンコ客、ヤクザ、パチンコ屋従業員、
などと時代の移り変わりにより立場が変わる3人が再開し、時に揉め時に共闘し、最後に植木等が裏切る。という内容。

戦中戦後の描写はかなりセットを組んでて豪華!ただ、今までロケ中心の絵作りだったので、コレがまた従来のクレイジーらしさが無い。

初期-中期クレイジー映画では、戦後の混迷を抜け経済が上向きになり、未来に対する希望に溢れてる。
比べて今作は、闇市・パチンコと朝鮮戦争特需・東京オリンピックと立退き、安保闘争と日本の混迷が終わらず続いていることを表してる。
暗い世相を前提にし、斜に構えて笑いにする。
この作風の移り変わりはさぁ、「未来に対する希望」を幻想だったということだもんな。社会への死刑宣告したようなもの。
世を蔑んだ笑いはシニカルだがスカッとはしないよ。時代の移り変わりは罪だな。

今作の植木等の役名が日の本太郎。この辺りから植木の役名に「ヒノモト」って名前が続く。なんでなんだろうね?
あと若き日の古今亭志ん朝が出てるが晩年と風貌が変わらないで笑う。
それと何かと言えば二宮金次郎の銅像が出てくる。あのナンセンスギャグはなんなんだ?
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