ゆりな

劇場版 きのう何食べた?のゆりなのレビュー・感想・評価

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)
4.5
夏にドラマ見てから、待ってました。いや、お待たせされすぎたかもしれません。

取り急ぎありがとうと50回くらい言いたい。(急)
劇場で観るの、間に合わないかな〜〜と思いつつ、久しぶりに駆け込んだ水曜日のサービスデー。劇場価格のアサヒ缶ビール(600円)を片手に、混んでもいない映画館に乗り込み、早歩きであったまった冬の喉を潤す。画面には京都旅行でわきゃわきゃする2人。開始5分で、最近の嫌なことが全部吹っ飛び「えっ?今、わたし超しあわせじゃない??なにこれ、しあわせすぎる。毎週水曜これがいいんだけど」来て心から良かった〜〜となりました。え、前置きが長い?

中江監督、「大豆田とわ子」の監督なのか!脚本の坂本裕二にばかり気が取られていたけれど、なるほど。
今回2時間の中で前半はケンジがひたすら可愛い!性別を超えて、男女関係なく「ケンジ」という生き物がひたすら可愛い!と見ていたのだけど、10分に一度は笑い泣かされて、忙しかったです。わたしは3回はハンカチで目を押さえた。

たまたまなのだけど、クリスマス前の時期から始まり、年を越し、春になり終わる(かつ約7割がお正月までかな?)なので、同じ時期に見れてこれまた大満足!

2人はさ、お互いのことが本当に大好きなんだよね。自分のことは二の次で心底惚れていて、尊敬もしている。自分含め、若いときのただ「かっこいい」とか「顔がいい」とかの恋愛が本当に幼稚に思える。ただただ愛しかなくて、ケンジもシロさんも良い大人だから独立して生きても行けるんだけど、大好きだから「2人を選ぶ」が伝わってきて、これまたジーンとした。人を好きになる理由が「何かをしてくれるから」「自分に好意があるから」ではないのだ。大事だし愛の真髄じゃない?

ドラマは30分の中で、たまに喧嘩したり波乱が起きて。お正月のスペシャルドラマ版ではその波が拡大していて、今回2時間の尺はもーっと広がった感じで見応えあり!
シロさんも素敵だけど、場の空気を明るくするケンジが今回も名セリフ多くて涙。
カヨコさんの孫ができるよ報告で「誰かの嬉しいことは、やっぱ嬉しいじゃない」ってニコニコしてて、ハッとした。

そう、最近「明日カノ」を読んでても気付いたのですが、うちの家、家族でご飯食べる習慣がないんですよね。最後はきっと小学生で、亡くなった祖母の家で食べるお正月とお盆が強いて言えばそう。思い出が人よりないのは恵まれていないかもしれないけど、それはこれから作ればいいだけの話!そんな自分と家族についても、しみじみ振り返れた。
街がクリスマスモードで、いいなーカップルは〜って言う人も多いけれど、わたしは圧倒的にクリスマスよりも来年すきなひととお花見デートがしたくなりました。

映画の余韻にいつまでも浸っていたくなる、最高の作品。明日もきちんと生きよ〜と日常が愛しくなった。

以下ネタバレ


・ケンジのお父さんが、生活保護で一人でマンションで死んで遺骨を引き取る、がリアルでリアルで。お母さんも「泥棒みたいなもんよぉ」と笑っていたし、そこに悲しい空気はないんだけど、うちも似たようなものなのでキュッとなった。歳を取るほど人の死に慣れてしまうけれど、残された側はこれからを考えるターニングポイントにはなるよね。
別に親の死を乗り越えたから、とかではなくケンジがナチュラルにシロさんに「これからもご両親を大事にしてね」って言うのも、日常的なワンシーンだけどグッと来た。

・スピッツの主題歌より、フレンズのビターさがしっくり来る!と思ってたのだけど、ラストのお花見のポカポカしたシーンを見たら、なるほどと。草野マサムネ、このラスト観てから描いたんだろうな〜。

・マッチョな山本耕史はただのイケオジ……というか衣装含め仕草や振る舞いで、パリッと感が出るのはさすが役者と思いました。ほんと良い役

・ちょうど昨日京都の縁切り神社の話をしており、からの冒頭だったので頭の中は京都でいっぱいに。年末年始帰省ラッシュがなかったら、確実にひとりで行ってロケ地巡りしてた、危ない
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