ジェイコブ

マッド・ハウスのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

マッド・ハウス(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

デザイナーを夢見て、ロサンゼルスへ住むため、あるアパートの部屋の契約を決めたサラ。父との仲は疎遠で頼れる友人もいない中、アパートの隣人達はサラを親切に出迎えてくれる。契約社員として働く法律事務所でも友人ができて、順風満帆なスタートが切れたと思ったサラ。しかし新生活の初夜を境に、サラの身に不可解な出来事が起こり始める……。
本作が監督デビュー作となるデイビッド・マルモール氏のインディーズ作品で、低予算ながらもNetflixで話題を呼んだ。あるアパートに入居した若い女性が、アパートのルールを無視して生活をしていたら、管理人と他の住人達共犯のもと監禁され、彼ら「共同体」の教えを叩き込まれるカルトホラー。
ラストにおける怒涛の脱出劇、エスターが自分を犠牲にしてサラを助けたシーンなど、グッとくる場面も多く、90分間退屈せずに見られた。ただ予算の関係か、せっかくこれからという所で物語が終わってしまったのが残念。
あなたの人生はあなたのもの。誰にも管理されるなと、テーマが非常に明快で分かりやすい。
サラは今まで父親(家族)に守られながら暮らしており、自由の意味を知らずに生きてきた。一人暮らしをすることで、初めて孤独と戦いながら生きなければならない彼女の心の支えはペットの猫だけ。それも無惨に殺された彼女は、ルールを守らないあなたが狂ってる、孤独を紛らわすために酒や薬に狂う方が間違ってると、自分が今まで生きてきた人生を全否定され、「共同体」の型にはめられてしまう。支え合いと助け合いという名目のもとで行われる監視など、彼らはそれが異常だとは思っておらず、幸せだと信じている。まさにカルト集団そのものであるが、これにモデルがいたというのだから、驚きを禁じ得ない。
サクラメント、ミッドサマーと似た要素があるため、その2つが好きな人であればオススメ。