■概要
過保護な父から服飾関連の仕事を反対されていた女性は、指図され続けるのに疲れLAに移る。
近隣住人達が親切なマンションに越し、仕事を見つけ、隣人達にも歓迎されてたが夜な夜な異音に悩まされて睡眠が取れなくなり始め、ドアから何者かに警告文が書かれた紙が差し込まれる…やがて近隣住人達の本性が明らかになる…。
■感想(ネタバレなし)
不条理なスリラーで、淡々と進むためどのように着地するか読めないのが楽しめた。
近隣住人達の異様なコミニティに巻き込まれるというのは、そんなに物珍しいプロットでもないのだがなかなかに異様な感覚を覚えるし、先を予想すると期待の斜め上のシーンでちょいちょい驚く。
キャストは無名だし、地味といえば地味なのだが低予算な割にしっかりした構成と映像でそこまでチープさは感じられなかった。自分としては結構な掘り出し物感が久々にあった作品。
■感想(ネタバレあり)
・脱出不可能なカルトコミューン
コアの考え方の基本の4つの考え方が極論で共産主義的考え方。
無私無欲で互いに監視体制を敷いたコミューンを作れば争いは起こらないという、異常な極論をベースに他人に手綱を引かれて楽に生きる世界を目指す。
そのためにはまず衰弱させてから思考を鈍らせて服従させるという明快なプロセス。
カルトの構築は何故か興味が引かれるので好きなジャンルなのだろうな。
・斜め上のシーン
ネコが焼かれたシーンは夢なんだよね?って思ってたら実際に焼かれてて凹む。
ちゃんと仇を打った主人公は偉い。犬猫を殺す奴なんて許さん。
コミューン入りした主人公にまさかとは思ったが配偶者も勝手に決められるシステムはザ・カルト感があるが、急過ぎてもう少し落ち着いてからあてがいましょうよってなる。
同僚がまず越してくるのはご愛嬌として、一緒に逃げ出すかと思ったし銃ないの?と思った途端に銃殺される同僚に驚愕。
・クライスト
拷問のタイミングで釘を打ち込まれて、イエスのように聖痕ができましたというのを表現しているので、宗教に対してカルトと変わらないという皮肉を刺しているんでしょうね。
・ラストシーン
ゾンビの群れから逃げるような脱出シーンはかなり好み、そこからまさかの近隣も全てカルトコミューンだったというオチは好き。主人公の方の表情がどちらとも読めないため、残らず駆逐してやるッ!なのか、面白い必ず生き残ってやるッ!なのかわからん感じも含めて、いいバッドエンド。
・総評
低評価みたいですが、自分としてはカルトコミューンの異常性を描く作品が好きなのと、限られたシチュエーションだけで作られた割にはしっかり構成されていたので楽しめました。
また知らないキャストだけで構成されていることで、この俳優さんなら敵かなとか余計な推測が入らない状態で観れるのも新鮮味がありました。
なんとなしに近いのはビバリウム。
根本的な脱出不能な原因が異なりますが、監禁し生活させ共同体とさせるというのが近しく同じような不快感と楽しみ方できました。