Sats

Blutch(原題)のSatsのレビュー・感想・評価

Blutch(原題)(2018年製作の映画)
4.2
51分の美しい映像と共に語られるタジキスタンからインドまでの旅の追憶。山に登っては、パラグライダーでヒマラヤの上空を飛び、また登っては飛び続ける。

全編フランス語で、字幕もないというところが、とても良い。

単語では端々に聞き取ることはでき、上空で、何か高尚なことを言うのかと思いきや「楽しい!ビール飲みたーい!」と叫ぶ姿には、こちらも楽しくなってくる。うん、ビールは飲みたい。

そう、言葉はすっかり関係なくて、考えてみれば、これまで自分が経験した旅も、同じだった。言葉は通じなくてもコミュニケーションは可能で、誰とでも、笑い合える。言葉の不自由さと言うものは、時に自由を生み出す。だから、この映画には英語や日本語の字幕は必要ない。

タジキスタンからパキスタン、そしてインドにおいてはダラムサラに入っていくというルートも個人的には琴線に触れる。そして、ネパール。ポカラ上空から見えるヒマラヤの姿。それが、7,000m級の山々ばかり。圧巻の美しさ。

それにしても、映像を見る限りでは、訪れる土地の人々の表情がとても美しい。穏やかで優しく、とりわけ、その目が透き通っていて、とても綺麗。

なんだか、コロナ渦においてストレスを無意識に溜めてしまっているような気はしていたものの、その凝り固まった意識の束縛がほぐれたような気持ち。
Sats

Sats