磨

護られなかった者たちへの磨のレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.6
中山七里の長編推理小説を「64-ロクヨン-」の瀬々敬久監督が佐藤健主演で映画化。東日本大震災後の貧困と生活保護制度の実態に迫る社会派ミステリー。

中山七里原作といえば「ドクター・デスの遺産」が思い浮かぶだけにどうも懐疑的な見方をしてしまったけど、これは社会派としてもエンタメとしても良質な感じに作ってあったと思う(おそらくドクター・デスは実写化が失敗しただけかと笑)

キャスティングは適材適所。ナイフのような雰囲気を醸す佐藤健や温かく意志の強い瞳が印象的な倍賞美津子。2人の刑事もバディものを見ているようで好感。
そして兎にも角にも清原果耶。毎度幅を広げる演技力に驚くが、今作はいつも以上に目を見張るものがある。観賞後に本作の舞台挨拶の動画を見たが、彼女の容姿や雰囲気が既に違う。現在撮っている作品に合わせたものだと思うが、まだまだこれから飛躍する過程のよう。

最後に意外(?)な展開が待ち受けてるものの、サスペンスとしてはやや弱い印象。しかし、そのお陰がヒューマン・ドラマの部分が色濃く残る。「魂が、泣く。」と宣伝文句にあるが、なかなか的を得た表現だと思う。さすがに泣きはしないがグサッと心に刺さった。こういった作品の後で流れる桑田佳祐のメロディーと声は余計に沁みる。