ニクガタナ

護られなかった者たちへのニクガタナのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.5
死んでいい人なんていないよね。
東日本大震災を機とする、護れ、護られなかった者たちの因縁絡む社会派ヒューマンミステリー。避難所が結んだ 利根、けいさん、カンちゃん3人の絆が事件を生む。舞台は私の故郷宮城。宮城野貨物駅の長ーい歩道橋での雨の逃走シーンが見事。勾当台公園のバレリーナが謎。ミスリードはバレバレだがなかなか上手い脚本。人の悲しみを描く瀬々監督らしい作品。端々まで演技巧者集めて理不尽で辛い現実を描くので、困り顔マスターの吉岡秀隆同様終始眉をひそめて観る。佐藤健も阿部寛も熱演。二人とも眼力がすごい。清原果耶は落ち着いたいい芝居。「糸」にも出演してた倍賞美津子のおばあさん具合が良い。生活保護の実態を不正受給者問題や、逆に受給を遠慮する人々の存在まで含めて見せてくれて、役所、行政クソだなで単純に済まされないリアリティがある。福祉保険事務所の職員役の永山瑛太の板挟みの公務員感が上手かった。利根が避難所でなぜカンちゃんに気をとめたのかが明らかになる終いに涙。
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