鹿苑寺と慈照寺

君が世界のはじまりの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)
4.2
【他人から注げられる視線。他者のことをどれだけ理解できているか】

冒頭でえん(松本穂香)の目のアップから始まり、続いてジュンが鏡を見つめるシーンに切り替わる。その後も劇中で何度も他者の視線に晒される場面が続く。不自然な状況で見つめられるシーンもあり、なぜだろうと思ったけれど、ラストまで観て意味がわかった。

本作は、他者から不必要に注げられる視線の映画なんじゃないかと。他者からの視線の中に一体どれだけ当人のことを理解している人がいるだろうか。

深夜のショッピングモールでの5人の高校生の邂逅。

「意外と知らんもんやな、誰のことも」

「他人のことはわからない」
「それでもわかろうとしたい。想像するべきやと思う」

これらの会話からわかるように他人のことなんて本当の意味ではわからない。でも、想像はするべきだし、ましてや大切な人のことは理解したい。

常に他者の視線の元にある登場人物たちは、ラストで大切な人と向き合う。
真っ直ぐと相手の目を見て対話している。そのことに気づいたときに、じんわりと感動した。

本作の白眉は、ラスト。
タイトルの意味と、とある登場人物の本当の気持ちに気がついたとき。
タイトルバックのあんな使い方は見たことない。すげえ。最高。これだけで本作の価値が爆上がりする。

面白かった!!!

以下は個人的メモ
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やたらみんな見てくるなあ。

「あの人ってなんかちゃうよな」

ナリヒラくんに対する琴子の態度が違いすぎておもろい。どうでもいい男子には「なんやねん!ボケ、カス!」

ナリヒラくんのお父さん

深夜のショッピングモールに不法侵入

「自分の屁を正当化すんな」

「自分だけ自由になりたいなんて、そんなんで人に優しくできんのかな」

おっさんにたこ焼きをぶん投げんのおもろい。

深夜のショッピングモールでサッカー
「意外と知らんもんやな、誰のことも」

「他人のことはわからない」
「それでもわかろうとしたい。想像するべきやと思う」

ここでブルーハーツはやられた!

「あんた笑いすぎやで。世界の始まりか」
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