よしかつ

スーパーサイズ・ミー: ホーリーチキン !のよしかつのレビュー・感想・評価

3.9
〜うまい話にはウラがある。〜

1日3食、30日間マクドナルドを食べ続ける姿を撮影したスーパーサイズミーのモーガンスパーロックの作品。
そんな彼が、「ヘルシーな」チキンサンド店舗の設立過程をドキュメンタリー映画化したもの。
アップリンクとかでやってそうな映画。

この作品のテーマは二つと理解した。
①「ヘルシーな食材」の再定義。
フードインク的な「わたしたちが食べる食事が食卓に並ぶまで」といった内容で進められる。
②米国の鶏肉業界を牛耳る「ビッグチキン」企業と養鶏農家の対立。
養鶏家目線で、大企業と協会の行っている「統治」の実態を暴露。

健康食に関する企業の広報活動が、低カロリー・低脂肪から、「ヘルシー」・「オーガニック」・「ナチュラル」といった「商品のストーリー」に変化したとの分析。前者は定量的に表現できるが、後者は一人ひとりの価値観に依ってしまうこと、大企業の多くがそれを利用したイメージ戦略の広報活動を行っていることを指摘。

「耳ざわりのよい言葉(健康ハロー)に意味はない。物事の一面だけで判断しないで、なにが起きているのかちゃんと理解しなさい」ということを痛烈な風刺で表現した良作。
「なんとなく〇〇なイメージ」、「〇〇そう」で思考停止して判断せずに、きちんと正しい情報を身につけないといけないな、と改めて感じる。

作中、「ビッグチキン」と揶揄される大企業VS養鶏農家という構図が登場するが、非常に養鶏農家寄りな内容なので、もうすこし詳しく調べてみよう、と思わせる内容であった。

また、お店を設立する過程で、チキンサンドの調査、他社との差別化、ブラディングなどの様子も描かれており、起業のドキュメンタリーとしても見どころ・気づきはある。
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