yukihiro084

めぐり逢えたらのyukihiro084のレビュー・感想・評価

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)
4.8
(スリープレス・イン・シアトル)と、
ラジオパーソナリティーが呼ぶ。
シアトルの眠れぬ男。このタイトルが好き。
僕だったら、なんて呼ばれるだろうか?

1993年のトム・ハンクス。
1993年のトム・ハンクスだから
意味があるのだと思う。

90年のトム・ハンクスはどん底にいた。
(ビッグ)でブレイクしたトムは、
(虚栄のかがり火)と
(ジョー、満月の島へ行く)の2作が
続けて大コケした。(虚栄のかがり火)は
凄まじいコケっぷりだったし、
(ジョー、満月の島へ行く)は、
日本では劇場公開すらされていない。
そしてトム・ハンクスは2年ほど
映画に出ていない。1992年にやっと
リハリビのように脇役で出たのが、
(プリティ・リーグ)だった。
別にトム・ハンクスじゃなくていい
役柄だった。
(そういえば、トム・ハンクスって
いたな。)と懐かしささえ覚えた。

1993年にトム・ハンクスは帰ってきた。
僕らが知っている今のトム・ハンクスが
現れた。そう、僕は今のトム・ハンクスは
この作品から生まれたと思っている。
それまでコメディ色の強い独身男の
イメージだったトムは、父性に溢れ、
亡き妻を思い涙する男を、実に魅力的に
演じていた。彼が元々持っていた
コメディ感覚と、シリアスな演技とか
混ざり合い、忘れられないキャラクターに
していた。こんないい俳優だったんだと、
みんな気付いた。ここからトム・ハンクスの
快進撃が始まる。ここからなんだよ。
この年、主演した(フィラデルフィア)で
オスカーまで獲得してしまう。

どの場面も好きだ。
冒頭の雨の中のレインコート姿。
家族とボールパークに行く姿。
大きな全米の地図を前に子供相手に
「危険な情事を観て、男はみんな
震え上がったんだぞ!」と叫ぶ姿。
友達に、お尻を褒めてもらう姿。
ラジオに、亡き妻の思い出を語る声。
女性陣と男性陣で、それぞれ好きな映画で
涙するシーンも最高だった。
シアトルの街並み、友達とのダイナー。
この作品があったから、彼はオスカーを
獲れたのだと僕は思っている。

メグ・ライアンもいい。
メグ・ライアンに代わりはいない。
こんなキュートな女優だって、
なかなか出てこない。
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