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めぐり逢えたらのEDDIEのレビュー・感想・評価

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)
2.9
なかなかめぐり逢わない2人がもどかしい。ロマンチックな出逢いではあるが、大人になって穿った見方をするようになった自分自身が一番残念。素敵な珠玉のラブストーリーなんだけど、ヒロインの婚約者が居た堪れなさすぎる…。

トム・ハンクスとメグ・ライアンといえば、『ユー・ガット・メール』と本作ですね。個人的には「ユー・ガット・メール」は思い入れも強い作品なんですが、本作も若かりし頃に鑑賞して凄くいいラブストーリーだなぁという印象が強く残ってました。

しかし、私はつまらない大人になったものだと。この2人が惹かれあい出逢うまでがかなりロマンチックであるにも関わらず、現実的な可能性を考えてしまい、30を越えた今やや無理矢理感を感じてしまいました。
特にヒロインであるアニー(メグ・ライアン)の設定です。彼女には結婚を目前に控えた婚約者がおり、家族も彼のことを大歓迎。作中ところどころ2人のツボの違いみたいなところを見せられるんですが、とはいえフィアンセのウォルター(ビル・プルマン)の立場からしたら悲しくて仕方がない結末なんですよね。別に彼悪いことは何もしてません。ただ運命的な出逢いを夢見るアニーは完全にウォルターに納得しているわけではなく、しかも焚き付けるように運命の出逢いを説く母親の存在もあり、この親あってこの子ありというところです。

とはいえ本作でロマンスのきっかけとなったのが主人公サム・ボールドウィン(トム・ハンクス)の息子であるジョナ(ロス・マリンジャー)の行動で、とても父親想いなんですよね。最愛の妻を亡くしてしまった悲しみから精神的にも参ってしまっているサムのために、ラジオに電話出演してパパの恋人探しを公募するわけですから。ママが亡くなって悲しくて仕方がない年頃にも関わらず、なんという精神的にしっかりとした子供なんだと。父親は息子を見習いなさいよと。

ここからがまた問題。サムは息子を心配させまいと新しい恋人とイチャコラこくようになるんですけど、「あなた本当にちょっと前まで妻が亡くなって塞ぎ込んでいた人ですか?」とばかりに求愛行動をするわけです。もちろんそこには色んな葛藤とかあったはずなんですけど、サムのそんな悩みなんぞは特に触れることもなく物語は進行していきます。

かつての名画『めぐり逢い』から影響を受けて、運命の出逢いに勤しむアニー。作中で同作のオマージュのようなシーンが散りばめられていたと言います(残念ながら私は観たことがありません)。
「めぐり逢い」リメイクのような内容を目指したのかもしれませんが、脚本の詰めが甘い印象でした。アカデミー賞脚本賞ノミネートされてるんですけどね。

なんというか今では絶対にアカデミー賞にノミネートされないだろうし、主人公2人の背景がぼやーっとしているので、ちょっと気になるとそれを最後まで引きずることになります。
携帯電話も普及していない時代だからこそのロマンチック演出だったのかもしれませんが、最後の結末もとてもロマンチックなんですよ。だけど、出逢ったばかりの2人がそうまでなるのか?という疑問が湧き出るというスッキリしない終わり方となってしまいました。

なんだか昔いいと思っていた映画にイチャモンつけるとは自分もイヤな大人になったなと反省したくなりますね。

※2020年自宅鑑賞245本目
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