もの語りたがり屋

恋する寄生虫のもの語りたがり屋のレビュー・感想・評価

恋する寄生虫(2021年製作の映画)
2.7
映像美と音楽で魅せる異色なラブストーリー

良くも悪くもミュージックビデオのような映画。数々のMVやCMを手がけてきた柿本ケンサク監督らしいカメラワークや色づかいと、音楽とのセッションがとてもクールだ。

特に冒頭の主演ふたりが登場するシーンは引き込まれる。想像していた恋愛映画の印象とは異なり意表をつかれた。監督曰くそういったいろいろな角度から観られることを伝えたかったらしい。

音楽は総勢13組に作ってもらっているようだがそれぞれかっこよく、かと言ってバラバラではなく統一感もあって、ラストAwichの主題歌がしっかり締めてくれる。
英語の曲から最後だけ日本語の曲となって、観ている人に寄り添っていく演出をしたとのこと。

ただ(原作は読んでないが)ストーリーは薄く、なんでいきなりそうなるという唐突感は否めない。感情移入はできなかった。

寄生虫を表現するから仕方がないが、寄生獣的なCGがたまに入ってきてちょっと世界観を崩していた。なくても想像のなかだけで成立したのではないか。
マイノリティー(弱者)に手を差し伸べる映画のはずだがあまりメッセージも伝わってこなかった。

映像クリエイターとして新しい映画スタイルへの挑戦は素晴らしく次回作に期待したい。