Morohashi

ビルド・ア・ガールのMorohashiのレビュー・感想・評価

ビルド・ア・ガール(2019年製作の映画)
4.0
ブックスマートのビーニー・フェルドスタイン主演の青春映画。学校ではぱっとしないし、家も貧しくて鬱屈としている日々から、毒舌ロック評論で一躍有名になる話。


◯人気者の条件
映画の中でもジョアンナ(ビーニー・フェルドスタイン)が言っているが、人気者は大抵意地悪。それは間違っていないと思うけれど、ちょっと捉え方が違うと思う。
人気者はみんなにすり寄っていかない。みんなが寄ってくるような尖った何かがあり、それを人によっては「意地悪」と感じるだけ。
全員にいい顔をする人には、結局人気者にはなれない。アンチがいることも人気者の条件であると言える。
だがしかし、果たして高校生のうちからそういう人気者になる必要があるのか…?


◯他人を攻撃するということ
残念ながら大人の世界には、他人のゴシップを流したり、秘密をバラすことが善しとされる変な側面がある。

でも子どもがそれを真似しても、関係性が壊れるだけ。大人がネット上で他人への誹謗中傷を書き込むのを見て「あ、こういうのもいいんだ。」と思い、書き込む。
あるいは、学校の中の閉じた関係性の中で他人を誹謗中傷して人気を得ようとする。
これらは間違った行為であるものの、やっている本人はそれが人気を得る手段だと思っているから「悪いこと」という認識がそんなになかったりする。
だけど、いざ身近な人が攻撃されたとき、自分のした攻撃の重さを思い知る。
ジョアンナの場合は、父のレコードが割れたとき。


◯彼女を取り巻く人
彼女はすぐに他人の意見に感化されるし、すごく危なっかしい。
そんな彼女を辛うじて家族とつなぎとめてくれたのは、兄。兄がめちゃくちゃいい人に見えるけれど、一方で兄もまたジョアンナの存在を求めたいたんじゃないかと思う。ジョアンナがいなくなってしまったら、今度こそ兄は絶望の中で生きなくてはならなくなってしまうから。

ジョアンナがジョンカイトの話に共感したのは、彼女自身が孤独を感じていたから。
彼女は自分の口から自分が本当はどう思っているかを口に出すことはとても少ないが、一方で彼女が示す共感によって彼女の状態を知ることができる。
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