フクイヒロシ

燃えよドラゴン ディレクターズ・カット版のフクイヒロシのレビュー・感想・評価

4.5
前3作がなんだったの?ってなくらいにちゃんと映画になってる!面白い!

でも逆に「映画になっちゃった…」っていうブルース・リーファンもいるかもね。
前3作への愛着もわかる。


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第3作目公開から8か月後の73年7月に公開。
それまでのペースと比べるととても時間をかけている。

『燃えよドラゴン』!
ブルース・リーの役名はリー。

セリフは今まで通り吹き替えだけど、今回はほとんど英語で喋っててブルース・リーの肉声が使われてる。


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もう冒頭からして前三作とレベルが違うっ!
引き締まってますよ。
そして、タイトルと共にメインテーマどーんっ!

https://youtu.be/ZunGXrbS0hQ
Enter The Dragon(1973)-Main Theme

来ました!カッコ良すぎる!
演奏も最高。

何がどうなってるんだろ。
なんで突然こんなに良い映画になっとるんだ?


それまでブルース・リー自身が監督やってたけど
今回の監督はロバート・クローズ。

ブルースもノンクレジットながら監督していたようだけど、おそらく分業がうまくいったんでしょう。


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物語の語り口が上手だし、映像にも風格がある。
拳法や格闘技というものに対する敬意があるのが画面から伝わる。

ちゃんとした映画なわけです。


アジア人差別をする西洋人中年男性にブルース・リーが〝無闘派〟で罰を与えて、
西洋人中年男性が情けなく敗北する描写もとてもいいですね。
セリフでなく映像で語られてる。


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黒人に対する白人警察官による不当な取り調べ。
西洋人によるアジア人差別。
人種差別。
貧富の差。格差社会。



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ラストの鏡の間でのバトルも面白い。

このまま今まで通り2分くらいでラスボス倒して終わりかと思っていたとこで、鏡の間。

鏡がいっぱいあってどれが本物なのか写り込んだだけの像なのかが観客にもわからない。

ハラハラさせるサスペンスとしても機能してるし
映像としても面白いし
なによりも「敵は見せかけの像で現れる。野心は背後に隠してな。像を打て。敵は倒れる。」という映画のテーマを表現している。

最高じゃん。

スパイものとしての緊迫感と楽しさもあるし、
ホントどうしたんよ。
一体突然。



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ラストネタバレはコメント欄に。