Fourtwosixx

カポネのFourtwosixxのレビュー・感想・評価

カポネ(2020年製作の映画)
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晩年のアル・カポネ。
梅毒による痴呆症状が進行し、”アンタッチャブル”などに見られるかつてのギャングのボスとしての面影は微塵も見られない。

話題にはなったものの、この映画の評価が低いのは、誰もが観たいアル・カポネの姿がそこにないからではないか。自信に満ち溢れ、まさにギャングのトップとして幅を利かせるアル・カポネの姿こそが、スクリーンに求められるアル・カポネそのものだ。しかし、この映画に映し出されるアル・カポネは、痴呆症状により発言や行動は支離滅裂で肉体的に歩行もままならないほど弱っている。

アル・カポネは、紛れもない犯罪者ではあるけれど、死後ゆうに半世紀以上経っても数多映画やドラマの題材になるほど魅力のある人物だ。それは、一種の強さの象徴であり、憧れでさえあった。それは、いわゆるダーク・ヒーローと言っても良いかもしれない。

ヒーローの弱さばかりが目立ってしまう映画を見せられることで、観る側の気が滅入ってしまう。ワクワクもドキドキも与えてくれないヒーロー、アル・カポネに魅力などない。それは、結果的に残酷なほど映画をつまらなくさせてしまった。ましてもはや死人のように青ざめてうめきながら辛うじて生きているアル・カポネの空想世界を見せられるわけで、それはこっちにとってただの”悪夢”でしかない。

決して映画そのものが悪いのではない。根本的に題材が悪かった、というわけだ。