GreenT

Gabriel(原題)のGreenTのレビュー・感想・評価

Gabriel(原題)(2014年製作の映画)
3.0
精神病患者を描く映画なのですが、視点が完全に患者側なのが新鮮に感じました。

主人公のガブリエル(ロリー・カルキン)は、長距離バスで旅をしている。どうやらアリスという女の子を探しているらしい。しかし、アリスから貰った古い手紙を手がかりに住所を突き止めようとしていて、最近親交はなかったように見える。

アリスは大学の新入生ドームからはすでに出ていて、現在のソロリティに行くと、アリスのルームメイトから「休暇で実家に帰った」と言われる。

ここで、バスの停留所にガブリエルを迎えに来ているお兄さんのマシューから電話が入り、ガブリエルはお兄さんをすっぽかしてアリスを探していることがわかる。

一旦、アリス探しを諦めて実家に帰るガブリエルなのですが、どうやら精神病院から退院を許されて、実家に帰ってきた模様。お母さんとお兄さんは、ガブリエルが実社会で暮らしていけるようにサポートしたいのだが、初日からこれでは先が思いやられる。

私は精神病詳しくないので、ガブリエルの病気がなんなのかわからないのですが、こういう映画では必ず、患者が薬を飲みたがらないという場面が出てくる。ガブリエルも、薬を飲むとよだれを垂らしてゾンビのようになってしまうので飲みたくないと言う。

しかし母親は、「あなたのためなのよ」と薬を飲ませ、ちゃんと飲んだか口を開けて確認する。そして「これが最後のチャンスなのよ」と言う。

話を聞いていると、お父さんも精神病を患って自殺したらしく、遺伝じゃないか?と思わされる。ガブリエルは、兄のマシューは何事もなく普通に生活し、ガールフレンドと同棲を始めるところまで来ているのを嫉妬しているので、「自分だけがこんな目にあった。お父さんのように邪魔にされて、俺も最後は自殺するハメに追い込まれるんだろう」みたいに思っているよう。

最後のチャンスというのは、今回のトライアルで実社会でやっていけることが証明できなければ、もう2度と病院から出ることはできないということらしい。

しかしガブリエルは、信頼を得るために大人しくみんなの期待するように行動する気はなく、隙きを見てはアリスを探すために家出しようとする。

私達普通の人から見たら「まずはみんなの言う通りに大人しくしていて、病気は治った、普通の人と同じようになっていける、って証明することが大事じゃない?」って思うんだけど、こんな非理論的な行動を取るのは、精神病だからなのかな?と不思議に思いました。だって、家出とかしたら確実に病院に戻されてしまうでしょ?そうしたらもう2度と出てこられないって言われているんですよ。

本人も、今回ダメならもう一生病院暮らしって分かっていて、しかも病院には戻りたくないと強く願っているのに、それでもアリスに会うためにリスクを犯す。なぜなんだろう?

ネタバレはコメント欄で!
GreenT

GreenT