秋日和

アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生の秋日和のレビュー・感想・評価

3.5
線路を走る玩具の列車やろくろ、そしてオルゴールの上のバレリーナ……これらの小道具が、回転のイメージを映画にもたらしていると思った。人の死を願うとそれが実行されてしまう「犯罪的人生」を歩む羽目に陥った主人公が、グルグルとその運命から抜け出せないように、幼い日に植え付けられた死の記憶と共にオルゴールはメロディを奏でながら回転する。
一方、脚を印象的に捉えた映画でもあった。主人公が初めて遭遇した死と結び付けられる家庭教師の脚や、自動車事故のせいで脚を引きずるように歩く女にハイヒール。極めつけはボトッと外れるマネキンの脚だろうか……。この映画に於いて脚は、死と切っても切り離せない関係にあるのだと思う。
回転のイメージによって犯罪は繰り返され、脚のイメージによって画面に艶めかしさが与えられる。出逢い/再会が劇中で何度か繰り広げられるのも、そこに脚が欠かせないのも、全ては主人公=アルチバルド・デラクルスが「犯罪的人生」を望んでしまったからだ。その人生から抜け出すには果たしてどうすればいいのか、もしやとんでもない絶望が待ち受けているのではないのか……と、期待して観たはいいのだけど、ブニュエルの出した答えのあまりの呆気なさに面食らってしまった(『エル』や『忘れられた人々』を撮った監督と同じ人とは思えない……)。けれど、あのラストの後に更なる再会が待ち受けていたら、と妄想すると少しだけゾッとする。