仕事の帰り、雌の黒猫マダムブラックを誤って車で轢いてしまった写真家。飼い主の少女のために、とっさにマダムは旅に出たと嘘をつくが、さらに嘘を積み重ねていく。
写真家の被写体おばさんマダムへの嘘は本人も不快だったようだ。
優しい嘘。子供を傷つけないための嘘。何か必死で心が温まった。そして外国特有なのか子供と対等なところまで自分が降りて話をしている。
女の子が父らしき人とじゃれているところを見て、嘘を完結しようとしたのは、この子に関わるときに自分の父性もあったことに気が付いたからではないか。ゴミ箱に捨てていたのが立派なお墓に埋葬したのはマダムブラックを子供の気持ちと同化させたのか。
ついてきた嘘も、マダムブラックが幸せに暮らしているということの一点張り。最後の嘘はとっても良かった。
一人で寝ていてあんなものを冷蔵庫に入れても平気な生活。誰にも見られない。
父かと思ったら伯父だったというオチもあった。多分想像の余地を広げたのかな。
どうしてもこの後を想像してしまう。
…………母と伯父には嘘はしっかりばれていたな。
まぁ子供が悲しむ姿はみたくないわな。
けれど、こういう優しい人に何か幸せなオチがあってほしい。
やっぱりこの男にとっての幸せは結婚して子供がいることなんだろうな。マダムブラックの手紙は自分自身が追い求めている願望を実現した姿じゃないか。