ryosuke

復活のryosukeのレビュー・感想・評価

復活(1915年製作の映画)
3.5
ウォルシュの登場人物はとにかく手が早いな。一瞬で取っ組み合いを始めて、すぐ物をぶん投げる彼らは基本的に気性が荒い。
赤くフィルムが着色された船の火事のシーン。大量の人物が船から飛び降りたり、ロープを伝って降りていく様を映したロングショットは、本当にやってる故の迫力があって凄いな。安全管理大丈夫かなとも思ってしまうが。
ところどころ画面が劣化で潰れていたのもあったのだろうか、結構ウトウトしてしまったが、特に最後辺りのウォルシュらしい活劇は見応えがあった。
1910年代のサイレント映画なので基本的には固定ショットの連続だが要所要所で縦方向のトラッキングが入ってくる。ヒロインを二階に誘導する陰謀の瞬間、ギャング達がわらわらと動き出す様子を映すためにこのトラッキングが選択される。眼帯を付けた元ギャング仲間の男は、警官を殺害するシーンでも一瞬のナイフを持った手のクローズアップだけで暴力性が示されていたが、ここでも鍵を閉める手のクローズアップだけで邪悪な欲望を示す。部屋でのヒロインとの攻防と、警官隊の突撃がクロスカッティングされる中で、「ハイ・シエラ」などでもそうであるように、とにかく暴力の速度が凄まじいウォルシュらしく人物は一瞬で射殺されていく。
ラストシーンも、天窓を蹴破った主人公のショットの次のショットに繋がった瞬間、即座に飛び降りてきた主人公と仇の格闘が始まるスピード感。首を絞める主人公に対し、画面右に死んだヒロインが二重露光され復讐の虚しさを教える。仇については、綱渡り→射殺→落下の流れがやはりハイスピードで行われて終幕。
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