yukihiro084

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのyukihiro084のレビュー・感想・評価

5.0
すごくすごく良かったです。
すごくすごく良かったんです。

全く知らない監督さん、
全く知らない俳優さん、
でも、良かったんです。

今作もラブレターの代筆から
ドラマは始まります。

妻と一緒にテレビを観る機会が増えた。
(プレバト!)の俳句で、妻が
『俳句の良い悪いの違いって何なのか
ね?』と聞いてくる。『詠む人がいる
以上、想像する余白を残している方が
いいんじゃないのかな。』と僕は言う。
『余白?』と妻。『うん、余白。
例えば恋の句を書くにしても、
(好き)とは使わずに、「あー、
好きな気持ちが溢れてんな」って、
想像出来たら、素敵だよね。』と言うと、
首を傾げながら、初めて見るマジックを
見るような顔で僕を見る。

想像。余白。余韻。

好きなシーンは、
ポールとエリーのお父さんの後ろ姿。
座ってばかりいたお父さん、気付けば、
立っていたね。あぁ、次は歩くね。
卓球のシーン。教会のシーンも。
ポールの脚力が鍛えられてるとこも。
この脚力は、ラストシーンの伏線にも
なるのだけど。

自分らしさ、自分の居場所。
アイデンティティ。自信。
本当の自分とは。

中国系移民のエリーと、
アメフト部補欠のポールと、
学校一の美女のアスター。

関わることのなかった3人が、
ラブレターの代筆を通して、出会い、
お互いの内面の素晴らしさや才能や
アイデンティティに気付き、自覚して
ゆく。気付いてしまったら、
もう戻れない。

(シラノ・ド・ベルジュラック)、
(日の名残り)、
(ベルリン・天使の詩)に
(街の灯)に、みんな好きな人に
振り向いてもらえない作品ばかりだ。

3人のキャラクターも演技も
良かったし、音楽も映像も
良かったです。ラストの余韻の
素晴らしいことったら。

立ち止まっていても、誤魔化していても、
未来は簡単にやってくる。

想像をしてみる。彼らの数年後を。
エリーのお父さんの数年後も。

自然に口角があがってる。
yukihiro084

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