#twcn
すごい。テーマは愛。複雑に入り組んでいるが、実はシンプルな良質青春ラブストーリー!に終始しないが、そうである。
なんかネトフリ、アジア系女子ラブレターの話多くない??
なんかそんなイメージあるの?
田舎町のハイスクール。吹奏学部に所属するアジア系の哲学好きのいわゆるNERD分類の秀才エリー。
バスもない田舎道を自転車で通い、Jocks野郎たちのレポート代筆で小遣い稼ぎ中。
5歳の時に父の仕事(工学)でこの街にやってきた。しかし、父は英語が苦手で田舎の一駅長をしている。
ある日、同級生のポールにラブレターの代筆を頼まれ、金銭的に困ったタイミングで嫌々引き受けることに。
壊滅的な文章で書かれた愛のこもったすげえ長いラブレターをもとに全部書き直す。
話したこともない高根の想い人アスターへの不器用にも真面目に愛を綴った散文は、恋の経験のないエリーには難解で、ついヴィム・ヴェンダースを引用し、それを相手の女の子に気付かれてしまう。
そう。お相手のアスターは学校でもトップの美人で頭もいいうえ教養深く性格もいい!
手紙の返事には、金持ちでいわゆるJocksの彼氏や美人でハイレベルな友達が持つ問題など、美人の彼女なりの悩みが綴られていた。
2人の文通は続き、晴れてポールとアスターのデートに漕ぎ着けるが、手紙で語り合っていた相手とは全く違い本や哲学などの話は一切できず、ポールが口にするのはシェイクの感想のみ。
最初のデートは大失敗。
それでも諦めきれないポールはエリーから知的会話指導を得て3週間後のセカンドデートへ備える。
この辺は完全にスポ根もの。
その過程でエリーは初めて自分と同じレベルで知的会話ができるアスターという友人(なりすましのメール上でだけだが)ができ、おバカだけど思いやりのあるポールとの親交を深めてゆく。
エリーとアスターがくっつけばいいのに・・・。
恋愛映画を見ても「列車で追いかけてくるようなバカと別れられてラッキー」とかいうし、エリーは論理主義の皮肉屋。
でもアスターの紡ぐ文字から、彼女の思考や普段の仕草など魅力を感じ、美人だから好き、というポールの愛が浅い気がしてくる。
しかし、相手の表情や感じ、を読み取れないエリーは愛を知らなすぎる。
愛する想いと相手を理解すること、そしてそれを表現すること。
1人のポールを演じている2人の一方は言葉や理解が足りず、一方は想いが足りない。
ポールはめっちゃいいやつなんだよ。ほんと口下手なだけで、アスターのことも本当に好きだし、エリーとは親友のように気持ちを打ち明け、愛を知らない彼女のことも、ファッションセンスがなく皮肉屋な部分も含めて好きだ。
好きというのは理屈ではなく感情だ。
だからエリーとアスターがくっつけばいいのに、とかそんな軽々しい問題ではないんだよ。
学校でのタレント・ショーでエリーは、得意のピアノを披露する予定だったが、いじわるで弦が切られていた。
そのピンチをポールは得意のギターで救い、エリーは一気に学校の人気者の仲間入り。
超よくあるやつー!!
そして、ひょんなきっかけからリアルでアスターとエリーの2人の間にも交流が生まれる。
しかもポールもまた・・・。
ここで実はちょくちょく挟まっていたが忘れがちだった一つの宗教という要素が絡んでくる。
経験なクリスチャンしかいない街で無神論者のエリー。
アスターやポールの根底には神がいた。
そしてそれぞれの本当のやりたいこと。
高校生ならではの進路の選択。
それでも愛が勝つ。
高校生のラブレター代筆から始まって、エリー、ポール、アスターという3人だけを主軸に、彼らが悩み、考え、行動し、自分なりの答えと相手への想いやりを持っているからこそ、ここまで到達するという力強い話。
こういう繊細で質の良い作品がNETFLIXオリジナルにゴロゴロ転がっているのがすごい。
もう少しティーン寄りにわかりやすくしたら、そのままサーチライトで劇場公開できると思った。
まあもうFox Searchlightないけど。
そしてもうひとつ。
ポールの実家のタコス屋の件も実は根深い。お母さんのリアクションも可愛い。
ヤクルトの一件も可愛い。アメリカってあんまヤクルト飲まへんの?
ケン・ワタナベェ!
新
日本語字幕:土岐 美佳