Ranan

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのRananのレビュー・感想・評価

5.0
ここ最近で1番の映画に出会った。だって普遍的なメッセージをうまく可視化させて現代的に描ききっているし、登場人物をほどよくリアルに、素敵な人として設定しているから。

わたしの中でこの作品は、相手を通して自分を知るという作業を、ゆっくりと丁寧に、良い音楽と色あせたようで優しいブルーがかった街とともに、少しだけ見せてくれるような意味合いを持つ。

起点はさまざまな理由で相手のことを知ろうとする力で、結果としてその先にいる人間や、ついには自分のことに意識の矛先が向くようになっていく。自分を見つめることって、大切なことだけど、普段どれだけの人が意識せずにできているんだろう。
それが見事に浮き出たのが教会のシーンじゃないかな。それから、それ以降の彼らがすごく素直で、胸が詰まった。

今の恋人と歩むことを決めた憧れの女の子の決断は、一昔前のようだけど、これが現実に存在したっていいよね。彼女には彼女なりの考えがある。間違った決断なんてどこにもなくて、そのとき確信が持てて行動できたならそれは素晴らしいこと。
何かを見る目が少しだけ変わって、人生も少しだけ動く。そんな経験は一生忘れないだろうな。

彼らの人生はいままさに始まったばかりだ。
Ranan

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