てっぺい

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのてっぺいのレビュー・感想・評価

3.5
【LGBTQゴーストライター】
性的マイノリティの才女が、同じ女性に想いを寄せる男の恋をゴーストライター的に手伝う映画。詩的で文学的な表現や、クスクス笑えるコメディ要素が満載。結論がないのになんとも爽やかな気持ちになれる一本。Netflix最新作。
◆概要
2020年5月1日から配信のNetflixオリジナル。トライベッカ映画祭2020最優秀賞獲得作品。
監督:「素顔の私を見つめて…」アリス・ウー
主演:リーア・ルイス
◆ストーリー
アメフト男子に頼まれて、ラブレターを代筆することになった成績優秀なエリー。お陰で彼との友情は芽生えたけれど、彼と同じ女の子が好きな心の内はかなり複雑...。
◆感想
まっすぐな男子と性的マイノリティの才女、ピカイチ美女の妙な形の三角関係。文学女子の会話や節々のナレーションがとても詩的で、“恋愛モノでも望みが叶う話でもない”セリフの通り、色んな愛の形が少しむず痒いほど絶妙な距離感で描かれる。
◆三角関係
まっすぐでどこか少し抜けているポールが、エリーの力を借りてでもアスターに一生懸命近づこうとする努力。それが同時にエリーのアスターへの想いを重ねる事になる脚本の絶妙さ。まるでゴーストライターだけど、ポールが彼なりに文学を一生懸命勉強し始める事で、この恋がそのまま成就してもいいと思わせる愛らしさがあったと思う。卓球での会話練習や、スマホの遠隔操作デートがなんとも微笑ましかった。
◆詩的
冒頭のアニメや、格言の取り切りカット、エリーとアスターのウォールペインティング。随所に詩的で文学的な表現が描かれ、自然と見る側が映像にプラスした想像を働かせるような、映画全体の統一感があったと思う。ラストに“愛は大胆”とエリーの格言もクレジットされていたのも良かった笑。逆に対照的に描かれていたポールの絵文字だらけのテキストのおまけまであるとは笑
◆ありのまま
彼女にはありのままでいてほしいと願う、とポールを諭したエリー父。温泉で無心論者の自分は孤独だと語ったエリー。教会で“愛は厄介で大胆”と叫び、言葉通り大胆になったエリーのラストも全て、自身も性的マイノリティだという監督のアリス・ウーの想いがにじみ出た作品だと思った。おそらく彼女もエリーのように、人一倍人を想い、でもこの映画のように距離感を保ちながら、少しずつ自分を開放していった経験があるのだと、勝手に想像する。

英語で絵文字が“emoji”として使われている事をこの映画で初めて知った笑。そしてアスターがとにかく美人でした笑。あとタコス・ソーセージが食べたくなったのと、ヤクルトが飲みたくなった笑。
結論のない映画はよくモヤモヤするけど、この映画ほどそのモヤモヤがむしろ爽やかな気持ちになれる映画もないと思う。エリーのこれからの”山場”が本当に面白くなりそうな、ステキな映画でした!

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