ゲイリーゲイリー

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

4.0
愛の多様性を描くことで愛の本質が描かれていた。
王道のラブストーリーとは異なり愛というものを美化することなく、厄介で面倒なものだと思わせる展開やメッセージ性が個人的には好みだ。

また、主人公のエリーの言動及び心情の変化や葛藤、もどかしさ等も本作の見どころの一つだろう。
前半での諦観と孤独感に満ちた言動が徐々に変化していく様や、アスターとポールの関係性に嫉妬してしまう様などが丁寧に描かれていた。

LGBTについても触れているため今風の作品としても捉えられるかもしれないが、本作が描いていた「愛」はそのような枠組みを感じさせないと思う。
むしろ誰かを思う気持ちの多様性を描くことで、「愛」の普遍性や根幹を描いていたように思った。

本作は繊細さとユーモアを兼ね備え、独自の視点から「愛」を描いた良質な青春映画だ。