KnightsofOdessa

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.0
["別々の道を歩み出す前のある瞬間にめぐりあう3人の人間"について] 60点

女性版シラノ・ド・ベルジュラックと呼ばれているらしく、確かに代筆という手段であれ世間的に言う"コンプレックス"を抱えた主人公が正体を隠して恋する人への思いを綴るという点では共通している。男女三人の三角関係ものは古くから男二人女一人と決められたかのように繰り返されてきたが、本作品では男一人女二人という設定からそれらのクリシェを辿り直す。それだけっちゃそれだけだが、移民のアイデンティティについては『フェアウェル』よりも描けてたと思うし、同性愛をその関係性の中に持ち込むことも、三角関係にアジア人を入れることも画期的であることには変わりない。ただ、前半の手探り感というか子供っぽい初々しさが後半に掛けて失われていく感じも、後半のこざっぱりしすぎた感じもあまり好きになれない。レズビアンであることをド田舎の高校生が爆速で受け入れるのも不思議。巧妙にエリーとアスターのルックスの差について言及を避けているのも気になる。あと、高校時代がその後の人生の序章であるという見方は確かに興味深いが、高校生は高校時代が全てだったし、その時期を全力で生きていた気がする。それでも、題名に呼応する水面の反射と電車窓の反射はそれぞれ顔の別の部分を複製する反射で、その対比は妙に納得してしまった。

お父さんが榎木孝明にしか見えなかった。本国ではそこまで評価が高くないのも気になるとこ。
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