優しいアロエ

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからの優しいアロエのレビュー・感想・評価

3.3
〈文通の醍醐味をこちらにも分けてくれよ〉

 学生青春映画については『エイス・グレード』『アメリカン・スリープオーバー』で心を開きはじめ、『はちどり』で死亡予定の私だが、生憎この作品はいただけなかった。

 たしかに、絶妙な三角関係のなかで〈自分の言葉で語る〉ことの尊さはよく伝わった。しかもそれが代筆を頼んだポールからだけでなく、サルトルやオスカー・ワイルドの言葉を身に纏っていたエリー・チュウからも伝わるあたりは上手かった。学校に通う子どものほうが英語に適応していくアジア系移民の内実もよく描けていたのではないだろうか。

 だが、本作のモチーフである「文通」の醍醐味が完全に死んでしまっている。手紙の往復をあまりにもせかせかと描いているため、手紙を「待つ」もどかしさも、「読み取る」難しさも、「伝わる」感動も、まったく感じられなかった。手紙を待つ時間を省きまくるので、キャラクターと観賞者の体感する時間があまりに違いすぎる。

 SNSのチャットへと展開したところは現代的だし、そこをひた走りに描くぶんにはネット特有の情緒のなさとも符合してよいのだが、手紙パートのゆったり感があればなお鮮明な対比が生まれていたと思うと惜しい。

 そして、コミカライズされた表情といちいち挟まれる独り言にいよいよ白旗を上げてしまった。あれでは説明がご丁寧すぎる。やっぱり本作は「読み取る」ことの焦ったさや楽しさを理解していない。文通と映画に共通する醍醐味を理解していないのだ。

 批判ばかりになってしまうが、「手紙の書き主がバレる」という展開にももたれかかっているように感じたし、チュウがレズビアンであることがすんなり受け入れられるのもどうかと思う。拒絶はまだしも驚きすらないのは時代の先を行きすぎでは。