つかれぐま

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのつかれぐまのレビュー・感想・評価

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高校生@田舎町の3角関係。
ラブコメの装いで始まる話に、同性愛や人種問題も絡み、最後には哲学的命題にまで行きつく。また見たくなる爽やかな後味。

おバカな脳筋男子ポールが、聡明な美女アスターに恋をし、地味な文科系女子エリー(中国系)にラブレターの代筆を頼む。孤独だったエリーだが、おバカで好青年のポールとの間にとても微笑ましい友情が芽生え、同時に知性の噛み合うアスターには「友情以上」の別の感情を抱くようになる。

なんとかアスターと付き合い始めたポールだが、エリーに傾いた自分の気持ちに嘘をつけず、今度はエリーに告白する。アスターはそれを知り、ポールもまたエリーのアスターへの気持ちを知る。同性愛など許されぬ保守的な田舎町で高校卒業が迫る。出口のない3人は・・。

古今東西の哲学者の言質まで持ち出して、「愛とは、人生とは・・」を語るかのように見せかけ、実はコミニケーションの本質というシンプルなテーマが底にあった。言語コミュニケーションを信じるエリー&アスターと、非言語コミュニケーション(絵文字含む) に頼るポールの対比。この3人のアンサンブルが産む化学変化というか、1人では決してたどり着けなかった「高み」に達する3人がすごく愛おしい。

監督はエリーと同じ中国系の才媛。
「知性こそが大事」と始まる物語が、エリーの心が氷解していくように、徐々にそのトーンを変えていく面白さ。最後のカットまで見て、ようやくその真意が理解できるタイトルも素晴らしい。

・・面白いのはこれから・・