乙郎さん

ジオラマボーイ・パノラマガールの乙郎さんのレビュー・感想・評価

2.5
正直に言えば消化不良感はあり。
運動は確かに生きが良いが、それでも前作『PARKS』に軍配が上がる。
もし岡崎京子の「映画性」を再現したいのなら、原作の破綻さえも取り込んだ方がよかったのかもしれない。ただ、そんなことを言うのも詮ないことだろう。

ただし、「現代」と「過去」との対比というテーマ性に関しては興味深い。
近過去の東京を描くという意味で瀬田なつきは確かに適任だったように思うのだが、まるで過去に耽溺することの怖さか後ろめたさを挿入するのもまた瀬田。今作では直接的に物語でその耽溺も後ろめたさも出てこない。
しかしながら、牧歌的な東京の下町と、現代の生っぽい東京と、80年代的な廃墟的なビルをシームレスに出し、ある種批評的な東京を映している。これが正解かどうかはわからない。
乙郎さん

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