ぐりこ

ジオラマボーイ・パノラマガールのぐりこのレビュー・感想・評価

3.3
ハルコとケンイチの絵に描いたような「ガール・ミーツ・ボーイ」から始まる青春譚。
といっても、そこは岡崎京子原作、汗と涙のアツいお話ではなく、どこか冷めた鳥瞰的な描き方になっているように感じる。

舞台は、スクラップ&ビルトの人工構造物で構成された東京~神奈川の湾岸。ハルコはふとしたきっかけでケンイチと出会い恋をする。その恋模様が作品の中心にあれば、それはわかりやすい。
が、どうやらそうではないようだった。

無機質な都会のすみっこでハルコやケンイチがすれ違ったり空回ったりするのを、客観的にモヤモヤと眺めた末のラスト15分。
突拍子もない非日常から迎える最後の朝は、ジオラマのように無機質な東京に命が宿ったような瞬間として目に映った。

「なんだかんだ悪くないよな」っていう。
ぐりこ

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