ロックウェルアイズ

ジオラマボーイ・パノラマガールのロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

4.3
16歳の女子高生渋谷ハルコは、ある夜偶然橋の上で倒れている神奈川ケンイチと出会い一目惚れする。
運命の恋と舞い上がるハルコだったが、そんなケンイチは勢いで高校を辞めてしまい、自分は何がしたいのかについて悩んでいたところだった。
何をするでもなくスケートボードを片手に昼から街でナンパをするケンイチ。
交わりそうで交わらない2人の、平行線にある愛の物語。

ガールミーツボーイ、もしくはボーイミーツガールの話ではあるが、よくある恋愛ものとは決定的に違う。
ハルコはケンイチが好きだが、ケンイチは他の誰かが好き、この決して交わらない2人の想いがずっと続く。
途中でケンイチもハルコが好きになったり、ハルコが他の人を好きになったりすることはないし、寧ろケンイチは終盤までハルコのことを忘れてさえいる。
好きという気持ちは簡単には変わらない。
どこまでも一直線。
橋から見下ろすことも橋を見上げることもない。
2人の視線は交わらない。2人の世界は交わらない。
どこにでもある風景だ。
恋心がそんな簡単に交わってたまるか!

全然かっこよくない鈴木仁と全然可愛くない山田杏奈(と思ったけどやっぱ可愛かった)。
2人とも好きな俳優だけど、あまり魅力的に撮れていない。
だが、この映画ではそれでいい。
理想ほど現実はそんなにいいもんじゃない。
都会のビル群も大人になることもオリンピックも。
変に着飾るよりもそのままが1番いい。
評価はそんなに高くないが、結構好きな作品。
瀬田なつき監督はあんまり得意じゃなかったけど、実は割と好きかもしれないと思った。