コーディー

TITANE/チタンのコーディーのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.4
頭蓋にチタンを埋め込まれた彼女の暴力性。
けれどそんなものは本質ではなく、こちら側の概念の問題。そこから外れて漸くアレクシアが見えてくる…
そりゃ最初は呆気に取られたけどw性別や慣習からの離脱、老いに抗う男の存在が性的視点や不快、人を超越した新たな感覚へ誘う。
大好き!

人体と金属の結合。到底理解など出来ないと思った一種のファンタジーが妙なリアルを帯びて浸透してくる。表面的な痛みをこれでもかと浴びせながら、いつしかアレクシアの内面的な痛みへと変異する。そんな無機と有機、タブーと尊さを配合しながら新たな視点で人間を定義する。まんまとやられたw快感!

と、自分でも何言ってるか分からんけどw過激な表現に対する不快感と結構笑えてしまう紙一重なエゲツなさは好きやし、凄惨な殺人なんかよりエンジンオイルの黒が鮮烈に焼き付く!制御できない肉体への恐れなど伴う苦痛がいちいち伝わるしwアレクシアを演じた新人アガト・ルセルの読めない狂気も良い。

『RAW』に続いて、こちらも目覚めの物語といった感じやけど単に衝動や欲求だけではなく様々な角度から人の脆さや神秘性を描いてるしヴィンセントの存在が更に視野を広げる。
まあそのせいで単純なのか複雑なのかも分からず混乱するんやけどwとりあえず今回も監督の愛と哀れみを強く感じる映画でした。