小川勝広

TITANE/チタンの小川勝広のレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.5
交通事故に遭い、
脳にチタンが埋め込まれ、
チタンと脳と外部の金属が、
反応していく、、、。

素晴らしい設定、
ヨダレだらー、
鉄板のおもしろさ、、、
期待値キンキン、、

あら?
なに?

シナリオを感覚で書き飛ばし、
ロジカルに詰めた気配は、、、多少あるが、、あら、、。

小説だったら何がなんだか、
理解不能の禁じ手か。(禁じ手というか使えないだろう。)

しかし、映画は違う。

必ずしも一人称で描く必要は無い。
何より、絵と音の説得力でねじ伏せる事が可能。(座席、水飛沫その他の場合もある。)

客観的に、
ねじ伏せるだけでなく、
主人公にカメラを向けて、
ロジカルに語らない、
あるいは、
語れないのは、
この監督の限界点か、
今後は突破してしまうのか。

女+男→懐胎。
X+Y→virgin birth。

有機物と無機物なんて、
他の惑星から見たら、
誤差レベルの同位体と変わらない、所詮は地球の産物。


XとYの無限感、
あるいは、
ガチガチの制約を突破するアンチ感のあいまいさゆえに、
変体、脱皮、孵化、進化も、
あいまいになってるのが、
めちゃくちゃもったいない!

具体的に言うと、
たった1シーンでいい、
わずか1カットでもいい、
メタルと炎と音の切り取りに、
心の動きもシンクロしていれば、
荘厳なラストへと、、、。

その辺りを、
説明するのではなく、
雰囲気だけを撮るのではなく、
素っ気なく、凝縮したアウトプットができれば、
もう、
この世界観は、
クローネンバーグのような、
とか、
大友克洋のような、
とか、
カフカのような、
とか、
諸星大二郎のような、
ではなく、

デュクルノーのような、
と2022年以降の類似SF作は、
言われるだろう。


無理が通れば、
道理は引っ込む。

この無理を良しとするか、
道理を大事にするかは、
あなたしだい。

無謀でも、
大気圏突破を試みる作品は、
神様に言われたら従うしかない、、、となる不思議。
勝ちに不思議あり、
負けに不思議なし。

『RAW』の再生産をし続けるのか
J・G・バラードの世界未満というか、
リアル鶴見篤四郎やないかーい。