ちんねん

ハウス・イン・ザ・フィールズのちんねんのレビュー・感想・評価

3.9
フィクショナルな演出の使い方、効果的。
切り返しシーン、インタビュー含め、演じていることを異化している印象。
近代的に寄りすぎた質問ー語りとの距離感をとる意図もあったのだろうか。

姉妹にとっての最大の不安であり、母のように人生を実際問題大きく規定してゆく、都市
に出ることや結婚すること、
それらの不安(主に顔で見せる)を写し出しながら、クライマックスにかけては音も重ねて深めていく。
いわゆる"日常"のカットもはさみながら、やっぱり大きな問題と感情を描いて、"人生'のスケールを獲得する。
おばあちゃん、お母さん、という多世代の顔によって人生がまた想像される余地。
西欧との距離も語りや映像を通して立ち上がるのが面白かった。姉妹達にとっても、あの男性の語りのように、西欧や都市は抽象的なイメージでしかわかり得ない。

写真家っぽさはかなり強く感じて、
セリフとかひどければナレーションで説明しようとするドキュメンタリーやフィクション映画にくらべて、
顔から想像すること、生活の様子を撮るカットの繊細さ、が目立った。
また、感情の流れ、関係性の変化、のようなものは主には描かれず、それでいて断片の重ね合わせから人生、登場人物の人格像、のようなものがぼんやりと浮かび上がらせるのは、やっぱりカットがよく撮れてるからだろか。 内面、とも呼べるものが見事に写ってるように見える顔。

しかしあの子の不安げな顔、あんなになんカットも撮れてるんですね。
ちんねん

ちんねん