平野レミゼラブル

パイプラインの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

パイプライン(2021年製作の映画)
3.8
【オーシャンズよりも泥臭く、そして油臭く盗み出せ!!】
シネマート新宿で予告を観た時から「面白そう!」と期待していましたが、その期待そのままの面白さがやってきた本当にちょうどよい感じの韓国映画。ジャンルは『オーシャンズ11』に代表されるケイパー(怪盗)モノなんですが、盗む対象が大金や宝石などではなく「石油」という点がとてもユニークです。
本作で組まれる怪盗団は盗油師と呼ばれ、地下に張り巡らされた送油管にドリルで穴を空けては盗み出していく。トンネルを掘るという重労働はもちろん、ドリルの扱いをちょっとでも誤れば石油に引火してドカンという過酷極まる犯罪ですが、その分リターンはデカい。実際韓国では過去に3カ月かけてトンネルを貫通させ、計73億ウォン、量にして400万リットルもの石油を盗み出した一団が実在したとか。

そんな盗油師を主人公にした映画というのは史上初とのことですが、通常のケイパーモノにある「大金を手に入れるか、捕まるか」というハラハラドキドキの二択に「生きるか、死ぬか」の二択まで加わるんだからますますもってスリリング!!さらにそこに韓国十八番の怖いヤクザめいた存在まで絡んでくるとなると、余計に緊迫感が増します。ただ、全体の空気はどっちかというとコミカル寄りで観やすく、時折バイオレンスで気を引き締めるという緩急のバランスがとても良い!!


チームメンバーを紹介すると、まずリーダーポジションで超絶穿孔技術を持つピンドリにソ・イングク。『君に泳げ!』以来8年ぶりの映画出演とのことで、上映前に挨拶の映像が流れておりました。三枚目のお調子者チョプセに『コンフィデンシャル/共助』のウム・ムンソク、地質構造のプロで苦労人なナ課長に『悪人伝』のユ・スンモク、気は優しくて力持ちのビッグショベルに『サイコキネシス-念力-』のテ・ハンホ、紅一点にして監視役のカウンターに映画初出演のペ・ダビン。そして、チームのスポンサーで冷酷な支配者でもあるゴヌには『チャ刑事』のイ・スヒョク。

一癖も二癖もあるチームメンバー、無茶な納期を押し付けてくるスポンサー、そして計画の裏に隠されたとある陰謀……とケイパーモノにお仕事モノを混ぜ合わせたような苦労を背負いこむことになるピンドリ達は、悪党ながらどこか同情してしまう部分すらあります。彼らの仕事はもっぱら地下で行われるため、息苦しさや閉塞感にも溢れているのもキツイ部分。しかし、メンバー間のトボけたやり取りには癒されますし、何やら凄いところにまで物語が展開するので最終的には解放されるような爽快感があります。全体的に何というか「THE 劇場版!!」って感じの単純娯楽なので、気軽に楽しむが吉です。
というか、テーマ曲がザ・ベンチャーズの『パイプライン』というそのまんまさなの本当に素晴らしいと思う。全体的なノリもあの楽曲そのまんまですよ。テーケーテケケーテテーテーテーテーテーテーテテー♪


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泥臭く、そして油臭く『パイプライン』感想