ぼとる

ザ・ファイブ・ブラッズのぼとるのレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
4.0
「戦争を体験した者は永遠に戦争が続く」
まさしくこれの体現であるかのような一本だった。

ベトナム戦争から半世紀、4人の黒人退役軍人「ファイブブラッズ」は、亡くなった隊長の遺骨と任務中に地面に眠らせた金塊を探すため、再びベトナムの地へ訪れたが……。

完全に消えない黒人差別、ベトナムとの因縁、体に染み込んだ戦争恐怖、カネから生まれる狂気。
これら全てを圧縮し、強烈な描写と彼らの様々な苦悩、葛藤を鮮烈に描く。時間の流れは過ぎても、戦争からは決して逃げることのできない彼らのもがき苦しむ姿はとても辛かった。逃げられないが故に狂気に走り、死者の赦しを乞いながらも彷徨い続けるポールによる、まさに自分達に向けて残しているような独り言には、目を離すことができなかった。離すことが許されないように思えた。
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