ひでG

アントキノイノチのひでGのレビュー・感想・評価

アントキノイノチ(2011年製作の映画)
3.3
惜しい〜
狙ってることや設定も決して悪くない。
誠実な映画だとは思う。

だから余計に、惜しいな、って思う。
もう少し何とかならなかったかなって。

過去に負った深い傷からまだ立ち直れないでいる岡田将生と榮倉奈々。

二人が働いているのが遺品整理をしている会社。
そこのキャップをしている原田泰造がいい!
変に説教ぶったり、寡黙過ぎたりしないリアルな仕事人という感じがよく出ていた。

遺品整理を通して、二人が自分の苦しみを克服していく姿を描いていくのだが、

挿入されている岡田将生のエピソードが頂けない。

岡田将生は吃音で思ったことを口に出せない。彼はその劣等感からか集団から疎外されている。
同じようにいじめの対象になっている染谷将太の事件がまず紹介されるのだが、
このエピソードがどうもうまくないので、観客の岡田将生へのシンパシーが広がっていかない。

また榮倉奈々のエピソードは、彼女の独白
それはそれでいいのだが、榮倉奈々の演技も頑張っているけど、やや硬いかな。

それから、肝心の遺品整理の仕事。
もちろん、大切な仕事だし、死者との思い出ということではドラマにしやすいテーマだが、檀れいや柄本明らを遺族で使うんだけど、例えば、「おくりびと」のそれと比べても、「うむ、、うまくいってない、」

例えば、それまで淡々と整理していた岡田将生がなぜ、檀れいのケースであんなに食い下がったか、どの場面で、彼が成長していったかがはっきりしない。

でも、本作の成功しなかった部分も肯定的に受け止めてあげたい。

死を通して生を、イノチを考えるというテーマはとても大切だと思うから。
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