アントキノイノチの作品情報・感想・評価

「アントキノイノチ」に投稿された感想・評価

本作では「遺品整理業」という「遺族の代わりに故人の遺品整理を代行する仕事」が描かれる。
「孤独死」などの理由で逝去した人が生活していた空間は生活感を残したまま存在する。
遺品整理業者は、そうした「生と死の境界線となる空間」に入り込み、遺品を整理するのが仕事である。

杏平(岡田将生)とゆき(榮倉奈々)は、それぞれ友人の命や妊娠した子供の命を失った自責の念から心に深い傷を抱えている。
そんな二人が遺品整理業者として共に働き、「生きている自分は何なのか」を考えながら生きていく。
二人は「あの時の命が繋がって出会えた」と語り合うが、ゆきが自らの命を落として助けた女の子へと命が繋がっていくあたりは、杏平には残酷だが子供の未来へ命が繋がる希望との二面性を持った展開である。
過去の命(=死)→現在の命→未来の命という命のバトンタッチによって「命とは」を深く考えさせられる作品となっている。

ゆきは「高い所は苦手」と言いながら杏平と観覧車に乗り、過去にレイプされて妊娠し流産したという辛過ぎる事実を杏平に告げる。
観覧車の中という閉所且つ高所という閉塞感たっぷりの空間で告白された杏平は観覧車の小窓を開けて叫ぶが、この場面を映画館という閉塞空間で観ている私も「この閉塞感を抜け出したい」という気持ちになり杏平の叫びによって解放されるという不思議な感覚を体験した。
この場面は瀬々監督によって観客も映像空間に引き込まれた瞬間であって、観客は監督の力技に屈服するしかない。

「人間、憶えるより忘れる方が難しいものよ」とは寅さんの言葉だが、3・11以降、人々は辛い記憶を共有しながら生きていくこととなった。

本作で「ちゃんと生きたい」というゆきのセリフは現代人の気持ちを代弁している。

こうした劇中人物の閉塞感と現代社会の閉塞感の重ね合わせにより、本作はイノチと向き合う機会を私達に与えているのだ。
みんなそれぞれ悩みかかえて生きているんだなと。
nanabee

nanabeeの感想・評価

3.1
10代で傷ついてそれを治す事は難しいけど元気に頑張る事は出来る。
「アントキノイノチ」、アントニオ猪木じゃないの?

タイトルふざけてますが中身は真面目です(*_*)

遺品整理の仕事をする若者に岡田将生、榮倉奈々、彼らは何故こんな仕事をしているのか、若いんだから何も人の死に携わる仕事を選ばなくても…。

2人は過去のトラウマから抜け出せずにいる。遺品整理の仕事をして自分自身を見つけて行くストーリ。

彼らの人生が明るい未来でありますように(о´∀`о)
終わり方があっけなかった
みんななにかを抱えている
Shuu

Shuuの感想・評価

5.0
複雑な過去を持ち心を閉ざした若者が、遺品整理業という仕事を通じて再生していく姿を描く。主演は岡田将生と榮倉奈々。そんな2人を見守る重要な役どころで、お笑いトリオ「ネプチューン」の原田泰造が出演するほか、松坂桃李、柄本明ら多彩な顔ぶれが脇を固める。

高校時代、とある事件がきっかけで心を閉ざしてしまった永島杏平は、遺品整理業を父親に紹介してもらい働き始める。そこで出会った久保田ゆきや仕事仲間と共に過ごすうちに、杏平は少しずつ心を開き始める。そんなある日、ゆきは衝撃的な過去を杏平に告白し、彼の前から姿を消してしまう。

自分の死と老後と今現在生きていることについて、とても考えさせられました。永島杏平役の岡田将生が主人公の心が壊れていくさまを好演していました。山岳部で登った山での松坂桃李とのバトルは手に汗握りました。今作の岡田将生は大好きです。とても好印象です。作品を振り返ってみて、杏平が遺品整理業という仕事に出会わなかったらきっと心を開くこともなかっただろうし、人を思うことも喜ぶことも悲しむこともできなかったでしょう。一番に彼の父親に感謝すべきです。ラストは可哀想でした。仕事仲間はあらかじめ知っているが杏平だけには知らされていない設定。遺品整理中に見つけたひとつの写真………泣けますね。邦題はギャグセンス抜群だが、作風とのギャップが良い意味で凄い。

「イノチ」にあらゆる場面で触れられていて個人的には感動しました。

"誰かに遺されるぐらいなら先に逝きたい"
元気ですかっていいね
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