似太郎と女と旅鴉

グローリーの似太郎と女と旅鴉のレビュー・感想・評価

グローリー(1989年製作の映画)
4.4
エドワード・ズウィック監督による19世紀アメリカで起こった南北戦争の凄惨さを時にリアル、時にフィクション練り混ぜつつ描いた歴史ドラマ。主演のマシュー・ブロデリックがいつものヘナチョコ演技とは真逆の凛々しい存在感を披露しておりそのギャップには驚く。😲

如何にもジョン・フォード的な「特攻精神」の映画である。男なら戦え!と。まあそういったメッセージ性は別にして、映画作品としてはかなり格調高い作りになっている。学校の歴史の教材にも使えそう。また、ジェームズ・ホーナーの勇壮なスコアも素晴らしい。🇺🇸

アメリカ合衆国とアメリカ連合国同士の戦い。要するに「内戦」の話なのだがこのような国同士が揉みくちゃになる背景がそこまで些細に描かれていない点が個人的に不満である。最終的にはハリウッド映画にありがちな戦いごっこ、或いはお涙頂戴的な展開に。

そこら辺がスコセッシの『ギャング・オブ・ニューヨーク』とは違い、構造的な所まで言及していないのがこの監督の弱さかも知れない。たしかに面白い作品だけど、所詮はエンタメの範疇を出ないかな。ズウィックは過去のジョン・フォードや黒澤明作品なんかをトレースするのに長けた極めて無骨な監督と言える。真の大傑作までもう一歩!だった惜しい作品。