ホンのシネマ

哀愁しんでれらのホンのシネマのネタバレレビュー・内容・結末

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

こんなこと言ってはなんですが、思っていたよりもずっと面白かった!

最初から怒涛の不幸続き。
こんなに悪いことって重なっちゃう? と映画なのに、架空のお話ってわかっているのに、「もうどうなっているの?」というくらい悪いことが続くのです。
お爺ちゃんは倒れるし、病院に連れていく途中で酔っ払いをひきそうになって事故るし、しかも運転していたお父さんは飲酒運転、帰ってきたら家が火事になっていて、やっと落ち着いたと思って彼氏の家に行ったら先輩と浮気中……。

いやあ、これ、ほんの開始10分ほど(確かこれくらいだったはず)で起こる出来事なんですよ。
ここから未来の旦那さまと出会って結婚までがすぐ。
幸せの絶頂から、どんどんおかしなことになって行く中盤。
そこからまたおかしな方向に行ってクライマックスへ……。
って本当に息つく暇もない。

この作品の中でとにかく一番感心したのは、田中圭の子どもヒカリ役の子。
この子はCOCOちゃんという10歳のカリスマファッションインスタグラマーなのです。
つまり、演技経験は一度もなく、今回が初めてとのこと。
よくもまあ、こんな難役ができたものだと感心してしまいます。
これから先が楽しみな10歳。
さらっと人生生きていきそうな自然体が魅力的ですね。

さてこのお話、めちゃくちゃ身近に起こってしまいそうだから怖いのか?
途中で何度も、もし自分が小春の立場だったらどうしているだろう?と考えてしまいました。

家が不幸続きで、そこから救い出してくれたダンナ。
そしてその娘がどうやらおかしい。
お弁当は毎日作って渡しているのに、学校では「忙しいのかお弁当を作ってくれない」と言い切って泣き出すヒカリ。
手作りのペンケースを取られたと言っていたのに、家のトイレから見つかった時に、私はどうするのかなあと考えて、そしてゾッとしてしまったのです。
うわあ、こんな結婚生活イヤだと。

でもこれって、本当に自分にも起こりうることだからこんなに怖くなってしまったのだなあと思う。
とんでもないファンタジーだと信じたい気持ちと、今の生活と紙一重な気持ちとがふわふわしている状態で、作品を観終わった後でもずっとモヤモヤしています。
そんなインパクトの強い作品でした。
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