松岡茉優

哀愁しんでれらの松岡茉優のレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
4.5
言いたいことはいくつかあるがめちゃめちゃ良かった。自分の価値観が自身の諦めと周りの環境によってバグっていくホラー。土屋太鳳大好きなので「可愛ければいいや〜」程度だったが、ガチで怖いし作り手の「こういうのがやりたかった!」という気持ちが伝わってくるし色々意見があるのは分かるが、傑作だと思う。
土屋太鳳が目の前の暮らしを自分起因で壊してしまうという恐怖よりも、周りの環境にのまれてしまった方が楽だと気がつくのが怖い。マジで日本人のテンプレ。思考停止せず、視野は広く持ちましょうと諭されてる感じがする。逆に言うと、外国人が観てもあんまり怖くないんじゃないかこれ。
前半と後半で強烈に話が変わるのもいい。特に前半の出会い〜結婚までの流れとかは素晴らしかった。3人で踊るところとかすげえ好き。気持ちが悪いほど希望に満ちてる。後半もクソガキの奇行に一切理由がないのが怖い。「こいつはこういう奴です。割り切って観てください。」と言われているようで辛い。
あとあのラスト。従来の映画であれば、あれだけ立派な豪邸の中で3人で篭って狂って暮らすことになるかもしれないが、あそこまでソーシャルな場所を家族で乗っ取って終わるのが恐ろしい。逆にここは新しいと感じたし、かなり攻めてると思う。
ただ、中島哲也風スローモーションは流石に古すぎ。クソガキの階段落ち等も期待したが、あまり動きで怖さを演出するのはなかったかな。田中圭もガキも良かったんだけど、自身の肉体をスケッチで残したり、剥製を愛するのも文字だと怖いが、映画だと動きがないのであまり伝わらないのが惜しい。久々にシネコンで日本映画の新作を観たってのもあって甘めかもしれないが断固支持したい。そして、俺もあのクソガキ同様太鳳ちゃんの胸に吸い付きたい。
松岡茉優

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