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哀愁しんでれらのmisoniのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
4.2
すごく面白かった。
これは千春がモンペに変貌する物語じゃなく少なからず旦那にかなりの程度影響されて最終的に八方塞がりになりああいう結末を辿ったんだと思った。
あの家に嫌気がさし実家に帰るが自分の役割だった祖父の介護や家事を妹がしている。またここに戻ったら前と変わらない生活になる… どこにも帰りたくないと思った時点で心も死んだんだろう。
あとは流されるまま、元に戻ったからにはひたすらヒカリの言うなり。大悟と同じく悪いのは全て周りのせいにしていく。
大悟の親は母親しか出て来ないから、大悟があんな人間になったのは母親せい…?と一見思いがちだがじゃあ父親は…??
家族の世話や子どもに何かあれば全部母親のせい、落ち度はいつも母親、女性のせい。
父親は存在しているのに矢面に立たされるのは往々にして女性である今の現実社会をあぶり出していた。
ラストシーンのあの情景ってモンペにはあんな風に他人の子どもが見えてるっていうのと、今の他人に関心が無い社会って可視化するとあんな感じなんだろうなと思った。
この役を土屋太鳳が演じてくれて良かった。聖母のような母性が備わっているように見える彼女が段々壊れて行く姿が流石だと思った。他に演じられる役者はいないと思う。娘役の子も本当に可愛げが無く素晴らしかった。
田中圭もこういう壊れた役やらせると本当に気持ち悪い位上手いなと思う。
この監督に興味がわいたので他にも見てみようと思う。
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