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アオラレの福福吉吉のレビュー・感想・評価

アオラレ(2020年製作の映画)
4.0
夫と離婚協議中のレイチェル(カレン・ピストリアス)は息子のカイル(ガブリエル・ベイトマン)を学校に送る途中、青信号で動かない前の車にクラクションを鳴らして追い越した。するとその車の運転手トム・クーパー(ラッセル・クロウ)は執拗にレイチェルの車を追い回し、やがてレイチェルの関係者へ攻撃し始める。

「アオラレ」という邦題のショボさはさておき、煽った相手に追い回され、家族の命を狙われるというシンプルながらラッセル・クロウの怪演が本作品の怖さを倍増させているホラー作品となっています。ストーリーのテンポが非常に早く、トム・クーパーの行動がレイチェルをどんどん追い込んでいくので緊張感が続き、ラストまであっという間でした。

とにかくラッセル・クロウに尽きる。役作りしたのか巨漢で陰湿、それでいて自分の惨めさを他人へ転嫁する悪質な性格と、相手を殺すことさえ厭わない非情さを持つ男トム・クーパーが怪物となっていました。トムに追われ続け、じわじわ家族の命を殺される姿はとてつもなく怖くて面白かった。そして、トムの行動がとても速く、次々とレイチェルを先んじていく流れは非常に良かった。レイチェルのスマホを奪ったシーンの絶望感が半端なかった。

被害者となるレイチェルなのですが、離婚協議中で仕事も上手く行かず、子育てに追われる姿はトム・クーパーより必死で、彼女が酷い目に遭うのは理不尽極まりないと思いました。まあ、トムは自分の腹いせができれば誰でも良かっただけなので、運が無かったとしか言いようが無い。

理屈抜きにとても面白かった。

鑑賞日:2023年3月22日
鑑賞方法:CS ムービープラス
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