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パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)のKieferのレビュー・感想・評価

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6/17

ずっと見たかった作品。

モノクロで見れて良かったと思う。
ポスターのキャッチコピーにも書かれていたが、
全ての感覚が研ぎ澄まされて見れた。
2時間があっという間だった。
モノクロは、現代では少ないが、
映画の面白さや奥深さを改めて感じた。


ストーリーとしては、半地下に住んでいる家族が
高台の裕福な家族に寄生するかのように入っていく話。でもその言葉だけでは勿体ない作品だ。
人間の欲や愛や幸せの本質、人間の根底にあるものを問われているような気がした。

人間というのは欲深い生き物だ、
欲を満たせば満たすほど、欲望は大きくなって
次から次へと手を伸ばし埋めようとする。
でも欲を満たすことなんてなくて。
高台の家族、半地下の家族、この2つの家族が
人間の綺麗な所も汚らしい所も体現していた。

高台の家族は、財産や地位・名誉を持つことで
欲を満たす。しかし、本来の家族の役割を行わない。家族なのに、食卓を一緒に囲まない。時にはいる我慢をさせない、子供を自分の理想の道へ進ませようとする。

半地下の家族は、皆で家事・洗濯をする。
一緒にWiFiを探し、一緒に内職をしてお金を稼ぐ。家族皆で行動することが多い、食卓も囲む、親子・兄弟・夫婦喧嘩もする。一般的な家族として成立している。ただ、豊かになりたいという欲から、法を犯し、高台の家族に寄生することで財力を手に入れ、擬似的な幸福を味わって欲を満たす。
欲を満たした両家族はどうなったか。
それは想像したら容易である。
欲というものは恐ろしい。欲を満たすため、
犯罪を犯し、嘘をつき、次は何になるのか。



高台と半地下という比較が画の中で
巧妙にされていた。階段の昇り降りのカットは
横から上から下から斜めからドン引きからと
全てのシーンが、奥行きのある迫力あるシーンへとなっていた。モノクロだから余計力強さを感じた。



洪水になった半地下へ帰るシーンで、印象に残ったのが、途中兄が階段で止まり、足元を映すシーン。あのシーンから水浸しの半地下の家が映るが、あの水はあの家族の欲だと思った。
欲が家を埋め尽くすくらいに満たされたのに、
彼たちは呼吸するくらいしか出来ないスペースにまだ欲を満たそうとしていた。
また、そのシーンから「計画」と「無計画」という言葉が意味をなしてくる。父の言った言葉を聞いた息子、2人はあることを成し遂げようと内に秘めた計画を無計画に行う。聞いていない母と娘は、その時が来るのを待つのみ。計画は人生と同じで上手くいかないという強い言葉は、現実となって分かってくるようになる。


最後のシーンで別の欲の満たし方、
人生の計画ということを改めて考えさせられた。
人間とはパラサイト(寄生動物)なのだと。
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