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ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜のCisaraghiのレビュー・感想・評価

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何故アメリカ人がわざわざアイスランド人の役を演じてこんな話を作るんだろ、と思っていたが、ユーロビジョン・ソング・コンテストについて調べてみると、そりゃこんなおいしいエンターテイメントネタ、映画大国アメリカが映画にせずに放っておく訳ないと納得。ABBAを「ウォータールー」で世に出したあのソング・コンテストの話だった。ローカルなヨーロッパの、そこはかとなくダサい雰囲気が何とも言えず歌合戦。
 
話には『イエスタデイ』と似てるところがあると思いながら観ていたが、二人の関係性はこちらの方がずっと理解出来るというか、シグリットのラースに対する気持ちには、リリー・ジェイムズ演じるエリーよりずっと共感できた。演技力のせいばかりではないのはもちろんだが、やはりレイチェル・マクアダムスは上手いなと思う。ラースはいくら何でも老けすぎ(ウィル・フェレル53歳)バカ過ぎだけど、高倉健張りにストイックなところなど好感が持てる。 

まさかの展開やコテコテのギャグはさすがウィル・フェレル。音楽映画としてはそれほど好みではなかったが、コンテスト最後の曲には感動したし、この世の声とは思えないスピョルグは一聴の価値あり。

ロシアの歌手レムトヴを演じている人、どーも見たことある人のような気がする…と思ったら、『ダウントンアビー』のマシューじゃないですか!久しぶり!マシューとは真逆みたいな役だけど頑張ってて嬉しい。それにしても、皺の入り方まで彫刻のようなピアーズ・ブロスナンを父に持ったラースには同情の余り笑いを禁じ得ない…。

最初、これを観てアイスランドの人たちは、自分たちの国がおちょくられてバカにされていると感じないのだろうか?と気になったが、最後まで観るとそれ以上にアメリカ人がこれでもか!とこき下ろされていたので多分大丈夫だと思う。(あそこまでボロカスに言われて平気でニコニコしているアメリカ人、逆にエライ。)アイスランドの荒涼としていながらも美しい絶景がたくさん見られたし、アイスランドの人たちの熱い心も伝わってきて親近感が湧いたし、アイスランドの小さな町がこんなメジャー映画に大々的にフィーチャーされる機会は二度とないだろうから、アイスランドの人たちにとってはよかった?
 舞台になったフーサヴィークはアイスランド北東部にある人口2300余りの小さな町。湾に様々な種類の鯨がやって来るのでアイスランドのホェールウォッチングの拠点になっているそうだ。
 北大西洋海流のおかげで、アイスランド近辺の海水温はそれほど低くないのかも、ね。
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