このレビューはネタバレを含みます
失踪事件の容疑者を追う、記者の話。
リーク情報をそのまま記事にしてスクープを取っていた記者が、取材で得た証言をそのまま記事にしたら、その証言者が自殺してしまうと。
今だったら、証言者の個人情報は守られて然るべきだと思うのですが、当時はそうした危機管理の意識も薄かったのでしょうか。
そこから主人公は容疑者に責められ、リーク元をバラしたり、果ては容疑者と男女の仲になる始末…。
主人公が女性という事で、恋愛要素が絡まないと良いな~と思っていたのですが、まぁ案の定といった感じ。
それにしても、脅しとはいえ、レイプ紛いの事をしてきた男と、よく付き合えますよね。
この主人公、とにかく主体性というものがなくて、流されるがままに行動するので、見ていてイライラするものがありました。
まぁ、そんな女性が最後の最後でリーク元を守る事で主体性を獲得する成長物語…とも言えなくはないんですけど、リーク元を守る事が大して重要な意味を持たないので、あんまり感動はしないという…。
それよりも終盤は、疑いを検察の方に向ける容疑者の駆け引きが見所になるわけですが、これはこれで何をやっているのか、よく分からない。
まぁ、『スティング』の様に全てを煙に巻く男をポール・ニューマンにやらせたかったのだと思いますが、話が複雑過ぎて、これまたカタルシスが感じ難い構造になってしまっている。
結局のところ、コンゲーム的なサスペンスと女性記者の成長物語が上手く噛み合っていないところが、本作の失敗点であり、それ故に何を描きたかったのか分からない…非常にボンヤリとした作品になってしまったのかもしれません。