ヤクザや戦争映画は、あまり得意ではない私。
試写でなければ観なかったと思われるこの作品ですが、結論から言うと
「観てよかった！」
綾野剛さん演じるヤクザ・山本の1999年、2005年、2019年の3つの時代を追う作品なのですが、若いチンピラ時代とヤクザになってイケイケの時代、そして令和になってヤクザに厳しい時代の3つの時代をきっちり演じ分けている綾野剛は本当にすごい！
ただのバイオレンス映画ではないです。
今までのヤクザ映画のイメージは、「鉄砲玉」とか、「玉取ったる」とか、「やられたらやり返す」とか、「親父の仇」とか、何かと抗争ばっかりしているイメージで、そういうのがちょっと苦手だったんですが、この作品はそうではありません。
もちろんそういったシーンもあったんですが、それよりも時代に翻弄される“ヤクザ”である彼らの人間的な部分を見ることができます。
ヤクザとして悪いことをしているのかもしれないのだけれども、一人一人は人間であることを実感させられたのです。
それは、柴咲組の組長と主人公・山本の所謂「盃を交わした」親子愛だったり、行きつけの料理店の女将のみんなを見守る母のような愛だったり、暴対法後の一変したヤクザたちの生活だったり、普段のヤクザ映画では見れないような場面で感じられました。
また、いろいろな局面で“ハグ”するシーンがあるのですが、これも彼らの愛情の深さや絆の深さを感じて、エンディングへ向けて気持ちを高めていくものとなって、最後はもう……。
終わった後のクレジットで流れるmillennium parade の歌が、ちゃんと歌詞も出てくるんですが、これまた観た後の気持ちに沿っているというか、なんだかとてもよかったです。
