ボギーパパ

ヤクザと家族 The Familyのボギーパパのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.7
劇場2021-8 TJ

 あの『新聞記者』の藤井道人監督・脚本作品。
今年は井筒監督の『無頼』といい「ヤクザ」を扱った映画が多い。この後、西川美和監督『すばらしき世界』も待っている。時代の要請か?それとも何か事情があるのか?

 ただし本作は任侠映画ではない。平成から令和にかけて「ヤクザ」の誕生から、成長、そして環境変化による衰退を描きつつ、時代そのものを描いたものではないか。そして家族を芯に、繋がり、絆、しがらみ、呪縛、そして継承の物語を描いたものだ。

 前作同様綿密な取材を元に構成されている。役者が演技をしている部分を除けば、つまりベースとなる部分は、ほぼドキュメンタリー作品としてもみることができる程骨組みがしっかりした作品。ウナギの稚魚の件などは各種ニュース、書籍で見知った通り。
 その上に芸達者が演技で肉付けしているのだから面白く無いわけがない!

 憲治と父、憲治と親父・兄貴達、愛子さんと翼、由希とアヤ、細野にも、そして加藤親分と孫、とそれぞれがホンモノも、擬似もあるが、家族を想う。その姿は美しいし、ドロドロに、ボロボロになりつつもその姿から発するエネルギーは凄まじい。全編にわたって、時代時代の波に晒されながらも発するその凄まじさが溢れた快作!

 個人的には市原隼人の演技の凄まじさが印象に残った(^^)また音響効果も『新聞記者』に通じるところがあり素晴らしいと思う。
 
 綾野剛も中年役を好演。北村有起哉もヤクザにしては線は細いが、妙にマジメなところが可愛くかつ渋い。
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